「りゅうおうのおしごと! 1」感想

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りゅうおうのおしごと! (GA文庫)

りゅうおうのおしごと! (GA文庫)

自分は観る将棋ファンなので、ここで描かれているキャラやエピソードの多くが、(もちろん誇張はされているものの)実在の棋士や実話に基づいていることが良く分かり、ニヤニヤと読み進めていきました。

もし、本書で将棋に興味を持ち、新しく観る将棋ファンになったとすれば、きっと「あのエピソードは実話だったの?」と驚くことになるでしょう。それだけ、現実の将棋界が、ラノベ並みに個性あふれる「異界」であることの証左とも言えます。良くも悪くも(笑)。

棋譜を使わずに、ライトノベルならではの描写も含め、対局者の心理をしっかりと浮かび上がらせているのが素晴らしい。将棋ペンクラブ大賞優秀賞を受賞したのも納得の良作です。

「氷菓」感想

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氷菓 (角川文庫)

氷菓 (角川文庫)

再読。著者デビュー作にして「古典部」シリーズ第1作。

初読時は角川スニーカー文庫で読んだと思います。現在は角川文庫にレーベル替えされていますが、著者あとがきにライトノベルっぽさが残っていてニヤリ。

巻き込まれ型の主人公は内向的で、一人称による記述。キャラ付けされた個性的な面々。青春「ほろ苦」ミステリといった感じで、人が死なない日常ミステリながらも、現在と過去に向き合うこの苦さの味は癖になりますね。

米澤穂信の作品は、自分の読書趣味が一時途絶えるまでリアルタイムで追っかけていたので、また順番に読んでいきたいと思います。

【本格ミステリ・ディケイド 300】読了6作目 2001年作

「レイトン・コートの謎」感想

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レイトン・コートの謎 世界探偵小説全集 36

レイトン・コートの謎 世界探偵小説全集 36

バークリーを初読み……と思ったら、アイルズ名義の『殺意』は読んだことがありました。同じ著者だったのかあ。『毒入りチョコレート事件』を読みたく、ロジャー・シェリンガム物を発表順に読んでいくことに。本書が初訳で2002年というのは驚き(原書は1925年のデビュー作)。

事件そのものはわりと平易ですが、推理の試行錯誤や探偵とワトソン役との会話が楽しく、特に「プリンス」のところは笑ってしまいました。

ホームズやワトソンを引き合いに出しながら、探偵像や推理小説への言及もあり、ユーモア(ウィット)あふれる古典ミステリとして存分に楽しめる一作です。

「西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集」感想

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西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集

西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集

過度の文明批判や自然礼賛は苦手だし嫌いだ。だから、少し説教的な感じも受けるこの物語に、読みながら所々引っかかりを覚える。

でも、最後には泣いてしまうのだ。そして、もやもやが残る。物語をどこか拒絶する自分と、心打たれてボロボロと泣いている自分との狭間で。

そう、これは魔女の修行なんである。つまり、自分は読みながら魔女の修行をさせられているのだ――。

10年ほど前に新潮文庫で読み、前日・後日譚の付された愛蔵版刊行を知っての再読。いま読んでも、やはり心に浸み入る素晴らしい物語でした。

西の魔女が死んだ (新潮文庫)

西の魔女が死んだ (新潮文庫)

愛蔵版「西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集」を読んだ直後で、この文庫版に併録されている後日譚「渡りの一日」を目当てに読みました。

ちょっぴり成長して新たな一歩を踏み出したまいの姿が描かれています。書かれたのは約20年前の1996年で、その時代の社会的な空気も感じられますね。今読んでも、変わらずに色々と思いを巡らせることになる物語です。

「壺中の天国」感想

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壺中の天国 上 (創元推理文庫)

壺中の天国 上 (創元推理文庫)

壺中の天国 下 (創元推理文庫)

壺中の天国 下 (創元推理文庫)

上巻)
表紙のカバー絵が「小市民シリーズ(米澤穂信)」の片山若子さん! いい画だなあ。カラフルな色づかいで、少し暗さも感じられる、すごく好みの画風です。

倉知淳さんは初読み。初出時には「家庭諧謔探偵小説」という副題もあったようで、通り魔殺人事件ながらも、ちょっと個性的な面々の日常描写の中でストーリーが展開していきます。登場人物も多く出てきましたし、どうやってエピソードがつながっていくのか楽しみ。

下巻)
日常のエピソードが推理の伏線になっていて、なるほどという構成。探偵役・ワトソン役などの登場人物が事件から一定の距離を置いているので、連続殺人なのに日常ミステリという独特な作になっています。

「第1回本格ミステリ大賞」という先入観もあって、ちょっと物足りなさもあります。でも、作者の技巧は感じられますし、定評のある作家なので他の作品も読んでみたい。

表紙の絵が好きなので、これから表紙買い(ジャケ買い)してみようかなあ。好みの本が多そうだし。

なお、被害者の名前にリンクを見つけたんだけど関係なかった(笑)。作者の遊び心?

「おーなり由子作品集 2 ともだちパズル」感想

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おーなり由子作品集 (2) (集英社文庫―コミック版)

おーなり由子作品集 (2) (集英社文庫―コミック版)

表題作「ともだちパズル(全9編)」が素晴らしい。

小学校3年生の女の子の視点から、同級生や大人たちとの交流が描かれていて、ちょっぴり切なくも心温まるストーリー。関西弁のセリフやモノローグも、柔らかな作風とマッチしています。

最後の「三太郎少年の日」も良かったですね。

絵本作家として著名なのに、初期作とは言え、こんなに素晴らしい作品集(集英社文庫版・2冊)が絶版状態なのは残念な限り。復刊は無理でも、電子書籍化して多くの人に読まれる機会ができることを願います!

「嵐が丘」感想

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嵐が丘(上) (岩波文庫)

嵐が丘(上) (岩波文庫)

嵐が丘〈下〉 (岩波文庫)

嵐が丘〈下〉 (岩波文庫)

上巻)
読む前に読む。「文学少女シリーズ」第2巻のモチーフが「嵐が丘」ということで、先に読んでおくことに。

だいぶ昔、新潮文庫旧版で読んだ時には、人物関係に混乱したせいか読み終えることができませんでした。今回は人物関係をきちんと把握することに努めた結果、面白く読むことに成功。

ミステリーのクローズドサークル物のような閉塞感・緊迫感があって、すんなりと読み進められました。登場人物それぞれのキャラクターが強烈で、この先どうなることやら。

下巻)
文学の名作というだけで構えてしまうのだけれど、いざ読んでみたら、すんごく面白かった。2004年の訳なので、読みにくさもありません。

荒野を舞台にした、二つの家の三世代に渡るクローズドな物語。登場人物も限られ、濃密な人間関係が描かれています。特に罵倒台詞の豊富さと言ったら。自分はエンタメ小説として読んでしまいました。

「文学少女」に触れていなければ読むことはなかったので、こうやって読書の幅を広げられたのは嬉しい限り。

【きっかけ:文学少女シリーズ 第2巻】