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「どんどん橋、落ちた」感想

どんどん橋、落ちた (講談社文庫)

どんどん橋、落ちた (講談社文庫)

いわゆる「犯人あて推理小説」の短編集。表題作だけは別アンソロジーで、刊行当時に既読。

これは、綾辻ファンがニヤニヤしながら読む本です。

本書の執筆当時の状況を、綾辻さんの各種あとがきやエッセイなどを読んで知っている読者ファンなら、著者自身が登場するメタ的な作品におかしみを感じつつ、ちょっとした感傷にふけってしまうでしょう。

そう、巻末解説の篠原美也子さんが「せつないミステリですね」と書かれている通り……この解説は自分が読んだ印象と極めて近い。

どの短編もメタ的な作風(「伊園家の崩壊」はそもそもがパロディ)であるのに加えて、この本自体が自己言及性を持つメタ的な属性を帯びているのです。

ですから、通りがかりの「ミステリーでも読もうか」と思った読者がこの作を手に取れば、怒り出す人がいても当然です。そんな感想は、Amazonレビューをはじめたくさん見受けられます。

作品を読むのに著者の事情や背景まで知っておくべき――というのはあり得ない話なので、この作が不評なのは致し方ないところでしょう。

本書は、新装改訂版がこの2月に出版されるようです。綾辻ファンの自分は、あとがきや解説が気になります。そういう性質を持った短編集なんですね。

どんどん橋、落ちた〈新装改訂版〉 (講談社文庫)

どんどん橋、落ちた〈新装改訂版〉 (講談社文庫)

綾辻作品を刊行順に読んでいるので、次は「綾辻行人が選ぶ!楳図かずお怪奇幻想館」を読みます。