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「鳴風荘事件―殺人方程式II―」感想

鳴風荘事件 殺人方程式II (講談社文庫)

鳴風荘事件 殺人方程式II (講談社文庫)

20年ぐらい振りの再読。記憶力の悪い自分が、トリックと犯人も覚えていてびっくり。やっぱり印象に残っているんですねえ。

著者が述べているように、殺人方程式シリーズは「ガチガチ」の本格。ただ読者の勝手なわがままで、館シリーズ・囁きシリーズ・Another好きな自分とすると、奇想的なトリックだったり幻想味を求めてしまうもの。私にとって、本作は「異色作」です。

ところで、光文社文庫版のあとがきが面白いです。本書がテレビの2時間サスペンスドラマになったときの顛末が語られています。著者の嘆きが……。

そして、同じく光文社文庫版・貫井徳郎さんの解説も良かったです。ある一点に気づけば犯人の目星をつけることは可能。でも、他の人物が犯人であるという可能性を排除していく論理まで美しく構築されているのですね。

将棋で言うなら「紛れ」がない。ただ一つの手順のみが正解で、他の手の可能性が排除されている。そのために、大胆かつ繊細に伏線が張られていることは、トリック・犯人を覚えていた状態で読んだだけに良く分かりました。

本作の続編の可能性は低そうですが、ガチ本格の趣向は有栖川有栖さんと合作のテレビシリーズ「安楽椅子探偵」で現れているのかもしれませんね。

綾辻作品を刊行順に読んでいるので、次は「眼球綺譚」を読みます。