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「乱歩の選んだベスト・ホラー」感想

乱歩の選んだベスト・ホラー (ちくま文庫)

乱歩の選んだベスト・ホラー (ちくま文庫)

「猿の手」にまつわるいくつか - ねぼまなで書いたとおり、「猿の手」から興味を持って読んだのが本書。

  • 1951年「怪談入門」江戸川乱歩
  • 1902年「猿の手」W.W.ジェイコブズ
  • 1914年「猫の復讐」ブラム・ストーカー
  • 1923年「歩く疫病」E.F.ベンスン
  • 1897年「樽工場の怪」コナン・ドイル
  • 1891年「ふさがれた窓」アンブローズ・ビアス
  • 1885年「廃屋の霊魂」マーガレット・オリファント
  • 1879年「ザント夫人と幽霊」ウィルキー・コリンズ
  • 1858年「魔法の鏡」ジョージ・マクドナルド
  • 1916年「災いを交換する店」ロード・ダンセイニ
  • ????年「専売特許大統領」W.L.アルデン
  • 1908年「蜘蛛」H.H.エーヴェルス
  • 1931年「目羅博士」江戸川乱歩

そもそも読書歴が浅い私にとっては、古典といえども新鮮に読めました。

冒頭に収録されている「怪談入門」は、海外の怪談を紹介した乱歩の随筆。それに取り上げられている作品の中から選んだのが、本アンソロジーとなっています。

「猫の復讐」は、フラグ立てまくって読者の想像通りに事が進むお約束ストーリー。やっぱり、そうだよね!と納得の結末。「吸血鬼ドラキュラ」の作者ということで、名前だけは私も知ってました。いつか読みたい。

「樽工場の怪」は、ホームズでおなじみのドイル。子供の頃、ホームズはなんども読んでました。ドイルは本当はホームズ以外の作品が書きたかったとかいう話を聞いたことがありますね。本作は、まさに「怪談」という感じの作品です。

「廃屋の霊魂」は、霊の声を聞いてしまった少年の父親・科学者思考の医者・信仰の牧師といった人たちが心霊現象に立ち向かうストーリー。古典小説っぽい描写のくどさや長さはあるのだけれども、じっくりと楽しめる作。

一読後はよく分からなかった「ザント夫人と幽霊」でしたが、読み直してみたら味わい深い作でした。亡き夫に守護されているんですね。

「魔法の鏡」は好きな作品です。鏡の中に現れた美女に恋した男の話。古道具屋で売られている鏡を買うことから始まり、切ない結末が素晴らしい。

「災いを交換する店」は、いわゆる「世にも奇妙な物語」。この手の話は大好きです。星新一のショートショートにもありそうな話ですね。本書解説で紹介されている「新編 魔法のお店(荒俣宏編・ちくま文庫)」も読んでみたい。

「専売特許大統領」は本アンソロジーの中で、いちばん印象に残った作! いい意味でのバカバカしさあふれる短編。怪談というよりはSFかな。しかも横溝正史訳ですよ!

「蜘蛛」も大好きな作品。解説によると、この「蜘蛛」には先行作「見えない眼(エルクマン・シャトリアン)」があるようです。「蜘蛛」についてドイツ語のWikipedia(Die Spinne (Ewers) – Wikipedia)を見たら「盗作疑惑」(Chromeの自動翻訳で直訳になってると思われる)なんて記述がありました。

そう言えば、窓越しに向かいの人と同じ動作をする――って、稲垣足穂にも同じようなのがあったような気もするんだけど、遠い昔に読んだ記憶なので思い出せません。「一千一秒物語」かなあ。

そして、「蜘蛛」から着想を得て書かれた乱歩の「目羅博士」。「蜘蛛」とは違って、乱歩作になると変な味(ユーモア)が加わります。ちょっと過剰気味なところが、また良いのです。原題「目羅博士の不思議な犯罪」が長すぎて後に改題されたらしいのですが、現在の感覚からすると原題のほうが味があるように思いますね。

アンソロジーは私のような初心者にはいい入門になるので、これからも色々と読んでいきたいです。